患者さんに親身に寄り添い、 安心して治療に臨める環境作りを Staff Interview

患者さんに親身に寄り添い、 安心して治療に臨める環境作りを

医療技術部長 朝日 秀樹

朝日医師は、金沢大学を卒業後、同大学泌尿器科学教室に所属し、悪性腫瘍、尿路結石、前立腺肥大症の治療を専門として経験を積んできました。「様々な治療法がある中で患者さんに最適なものを、患者さんと一緒に考えることが安心した治療を受けることにつながる」と朝日医師は言います。そのためにどのようなことを診療で心がけているのか、当院ではどのような治療を行っているのか、当院泌尿器科の魅力とはなにかについて、詳しく伺いました。

私の原点

私が中学生の頃、まだ40歳代だった母が重い病気で長期間入院していたことがありました。手術を受け、退院する頃にはかなり痩せ、何度も小分けにして食事を摂る姿が今でも印象に残っています。当時、父と私、そして家族全員で母の回復を心から願いながら過ごした経験が、家族や患者さんが病気になってもしっかりと支え、治す仕事に携わりたいという思いにつながりました。

海外での経験

大学進学後、海外での医療活動に関心を抱き、熱帯医学研究会に所属してタイやフィリピンなどの医療現場を見学しました。それらの国々では、日本と比べ医療資源が限られている中で、予防や健康教育を大切にし、地域のために尽力する医師たちが活躍していました。Tシャツに聴診器というシンプルなスタイルで情熱をもって診療に取り組む姿に感銘を受け、患者さんと直接触れ合いながら、心から寄り添うことができる医師を志したいと思うようになりました。

患者さんに寄り添う診療

私が診療で大切にしていることは、まず患者さんのお話を最後までしっかりと伺うことです。お話の中には診断に必要な情報だけでなく、患者さんが大切にされていることや生活の背景が含まれています。その声に丁寧に耳を傾け、わかりやすく病状や治療内容をご説明することで、不安や疑問の解消に努めています。一緒に最適な治療法を考えることで、患者さんが安心して治療に臨める環境を作り出すことを心がけています。

当院で得意とする治療

当院では、尿路結石症や前立腺肥大症、泌尿器科癌治療に特に力をいれています。

難治性の大型の尿路結石への対応

尿路結石症は、突然発症し、激しい痛みを伴うことが多い病気ですが、時に症状があまりなく、患者さんが気づかないうちに大型化してしまうことがあります。このようなサイズが大きくて、尿路に嵌頓してしまうような結石は治療が難しいとされています。当院では、経尿道的尿管結石破砕術(TUL)や経皮的腎砕石術(PNL)、経皮経尿道的同時砕石術(ECIRS)を導入し、難治性の結石にも対応しています。さらに最新の衝撃波による破砕装置も導入し、患者さんの状態に合わせた最適な治療法を実施しています。

前立腺肥大症の治療法の多様性

前立腺肥大症に対する治療法は日々進歩しています。従来は、経尿道的前立腺切除術(TURP)という内視鏡手術が標準治療でしたが、その後、出血が少なく体への負担が軽い前立腺蒸散術(PVP)や大型の前立腺肥大症にも対応可能な前立腺核出術(HoLEP)などのレーザーを使用する手術が登場しました。さらに近年では、手術時間が非常に短くて体への負担のすくない手術法も登場してきています。 前立腺水蒸気治療(WAVE)は低侵襲手術の代表的なものです。当院では、前立腺肥大症の最新の治療を取り入れるよう常に努めています。ただ、最新の治療がかならずしも、すべての患者さんに良い効果をもたらすわけではありません。 前立腺肥大症の大きさや症状の強さ、他疾患の有無、年齢やライフスタイルなども踏まえて、治療による効果とお体への負担のバランスを考えながら、適切な治療法についなげていくことが重要と考えています。 当院では、先にお示しした様々な治療法を導入していますので、患者さんにとって最適な治療法をご提供できると考えています。

がんの早期発見と安心の治療のご案内

泌尿器科のがんには前立腺がん、膀胱がん、腎臓がんなど多くの種類があります。定期健診での尿潜血検査やPSA検査(腫瘍マーカー)、排尿時のいつもと違う症状に気づいたら早めに相談していただくことが、がんの早期発見につながります。早期にがんを見つけることで、より適切な治療法を選択でき、日常生活への影響を最小限に抑えることが可能です。

抗がん剤、分子標的治療薬だけでなく、最近では免疫チェックポイント阻害薬などの革新的な治療法も登場してきています。当院では最新の治療法を積極的に取り入れています。また侵襲をできる限り抑えた腹腔鏡下手術も行っております。がんの性質や患者さんの病状、生活スタイルに合わせた適切な治療をご提案させていただき、患者さんが安心して治療に臨めるよう努めています。なお、ロボット支援手術が必要な場合には、連携先の大学病院へご紹介させていただいております。

がんの治療は単に「闘う」ものではなく、患者さん自身のライフスタイルや「大切にしていること」を尊重しながら、一緒に最適な治療方針を決めることが大切だと考えています。手術や抗がん剤治療などの積極的なアプローチに加え、がんと上手に付き合いながら生活の質を維持する方法も選択肢としてご提案しています。

当院泌尿器科の魅力

当院の泌尿器科には、経験豊富な4名の医師が在籍しており、互いに連携しながら質の高い診療を提供しています。各医師が最新の知識と技術を取り入れ、患者さん一人ひとりに最適な治療を行うことを心がけています。私たちは専門的な知識と最新技術に基づいた治療だけでなく、温かい心と丁寧な対話を何よりも大切にしています。どんな小さな不安や疑問でも、患者さんやそのご家族としっかり向き合いながら、一緒に治療方針を決めることで、安心して治療を受けられるよう全力でサポートいたします。皆さまが笑顔で日々を過ごせるよう、私たち医療チームが全力でお手伝いいたします。

最後に ~より良い医療を目指して~

泌尿器科の病気は、生活の質に大きく影響を与えることが多く、患者さん一人ひとりにとって最適な治療を選ぶことが何より大切です。私たちは専門的な知識や技術を活かすだけでなく、患者さんの気持ちに寄り添いながら治療を進めることを常に心がけています。

病気の診断や治療は、時に不安や迷いを伴うものです。特に手術や薬物療法を選択する場面では、「本当にこの治療でいいのだろうか」「他に選択肢はないのか」といった疑問が生じることもあるでしょう。そうした気持ちを一つひとつ真摯に受け止め、納得のいく形で治療に臨めるよう努めています。どんな小さなことでも気になることがあれば遠慮なくご相談ください。

今後も私たちは医療技術の向上に取り組みながら、患者さんが安心して日々を過ごせるような診療を続けてまいります。

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