寄り添うこころ、学び続ける力――私が看護を続ける理由 Staff Interview
寄り添うこころ、学び続ける力――私が看護を続ける理由
慢性呼吸器疾患看護認定看護師・特定看護師 上田 真弓
患者さん一人ひとりに寄り添い、その人らしい生活を支えたい。その想いを胸に、日々現場に立ち続ける上田看護師。慢性呼吸器疾患看護認定看護師として、また特定看護師として、学びながら成長を重ねる中で見えてきた「看護を続ける理由」とは。その想いについて語っていただきました。
私が看護師になろうと思ったのは、幼少期の入院経験がきっかけでした。遠方でひとり寂しく入院していた時に、そばにいてくれた看護師さんの優しい笑顔が心に残っていたのだと思います。
実は「看護師になりたい」と思っていたわけではなくて、いろんな職業に憧れた時期もありましたが、最終的には、幼少期の記憶に導かれたのだと思います。
看護師として働き始め、酸素療法や人工呼吸療法を受けている慢性呼吸器疾患患者さんと接する機会が多くありました。患者さんの中には「本当は家に帰りたいけど、こんな機械をつけていたら帰れない」と悩む方がいらっしゃいました。当時は自宅やデイサービスなどで、それらの治療を継続するということが稀な環境であったと思います。
私は、地域全体に在宅酸素療法や在宅人工呼吸療法の知識を広め、患者さんと地域の架け橋になれたらと思い、認定看護師の資格取得を決意しました。やはり患者さんが「住み慣れた自宅で生活できる」こと、それが一番大切なことだと思います。
認定看護師とは、特定の看護分野において高度な専門知識や技術、実践能力をもつ日本看護協会の認定を受けた看護師のことをいいます。
私は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの慢性呼吸器疾患に係る認定看護師資格を取得しました。慢性呼吸器疾患患者さんは、呼吸困難感という苦痛を抱えながら生活されています。このような患者さんが少しでも苦痛なく生活を送れるように、呼吸リハビリテーションや増悪を予防するための指導を、外来から病棟の患者さんまで横断的に活動しています。
私の座右の銘は「チャレンジし続ける」です。何事においても「自分には無理だ」と決めつけずに、まずやってみようという気持ちを大切にしています。ピンチな時こそチャンスだと捉えて、前向きに行動するようにしています。
私は、看護師は患者さんの「生活を看るプロ」であると考えています。患者さんやご家族の思いに沿った生活を支援するために、積極的に対話することを心掛けています。
福井大学で認定看護師資格を取得した後、大学院に進学し、「慢性呼吸器疾患看護におけるアセスメントとコミュニケーション力」について研究しました。相手の話を聴くだけでなく、私の思いも伝えながら対話することで、本当の思いを引き出すことが出来ることを実感しています。これからも患者さんとご家族の思いを尊重しながら支援していきたいです。
現在は、特定看護師としての活動にも力を入れています。2015年、厚生労働省による「特定行為研修制度」が施行されました。この研修を修了すると、医師からの指示の下、人工呼吸器の設定変更や動脈穿刺などの一部の診療の補助が可能となります。看護師がタイムリーに特定行為を行うことで、患者さんの苦痛を少なくすることや早期回復などに繋がります。また、チーム医療の要として、医師と患者さんや多職種との橋渡し役を担いながら、安全で安心できる医療を提供することを目指しています。
当院の魅力は、「学びを支援する教育体制」が整っていることです。当院の基本方針のひとつに「将来を担う優れた医療人の育成」があり、認定看護師や特定行為研修など学びたい人を支援してくれる環境があります。特定行為研修を修了した看護師も多く在籍しており、常に新しい知識を取り入れながら看護にあたることができます。

当院には、さまざまな資格を持ったスタッフが在籍し、質の高い医療を提供できる体制が整っています。
当院は2023年に厚生労働省より特定行為指定研修機関の指定を受け、特定行為研修を開講しています。研修の指導には医師、特定看護師、認定看護師、薬剤師、臨床工学技士による指導のほか、呼吸サポートチームや栄養サポートチームでの実習など、充実した研修体制があります。キャリアアップを目指したい方、ぜひ一緒に学びませんか。