研修医勉強会

Study Meeting

病歴を特に重視した診断推論や画像読影(腹部を中心)などを研修医と共有します。

第3回 研修医症例検討会

第3回 2019年3月6日(水)17:00~
『研修医/非専門医のための急性虫垂炎診療』
 担当 藤丸医師
 指導 放射線科 瀧医師
    外科   黑阪医師 吉本医師 櫻井医師
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加賀市医療センター 第3回研修医症例検討会を開催しました。

今回は、初期研修医 藤丸 直弥先生が『研修医/非専門医のための急性虫垂炎診療』の演題で発表しました。複数診療科の医師に加えて、看護師、検査技師、薬剤師、放射線技師、事務担当者など多職種に渡る計 44名のスタッフが参加されました。テーマに関連する専門医として、放射線科 瀧 圭一先生と外科 櫻井 健太郎先生、吉本 勝博先生、黑阪 慶幸先生が参加され、適宜コメントを頂きました。

若年女性の急性虫垂炎症例を元に、まず藤丸先生から急性虫垂炎診療における病歴と身体所見のポイントについて勉強したことを発表してもらいました。以下の参考文献を整理して、虫垂炎らしい症状出現の順序、基本的な身体所見と尤度比(McBurney, Lanz, Rovsing, Obturator, Rosenstein, Psoas, Carnett, 反跳痛, 筋性防御など)、代表的なclinical prediction ruleであるAlvarado score(MANTRELS)、腹痛診療のピットフォールについて解説しました。

症例呈示の中で放射線科 瀧 圭一先生には、腹部CTについて電子カルテ上で普段の読影順序と目の動きを言語化しながら解説して頂きました。放射線科医のアタマの中を覗いているかのような貴重な機会で、大変勉強になりました。更に、適切な画像検査の依頼文の書き方についてコメント頂きました。「CTの依頼文は自身の臨床能力(病歴・身体所見)を試される場である」と、カンファレンス担当者は常々研修医に指導してきましたが、改めて身の引き締まる思いで拝聴しました。

最後に外科の各先生から、急性虫垂炎の治療方針についてわかりやすく解説して頂きました。手術と保存的加療とを分ける、一般的な考え方について参加者で理解し共有できました。

今回も専門医に参加して頂くことによってカンファレンスが引き締まり、参加者全員の学びが深まることを実感しました。多くの質問も頂き、盛り上がりました。次回は新年度に新たな研修医の先生方をお迎えして5月以降に予定したいと思います。

*参考資料:
『急性腹症の早期診断ー病歴と身体所見による診断技能をみがくー第2版』
 ティアニー先生も医学書best3の一冊に挙げた、腹痛診療の名著。

『マクギ―の身体診断学』
 尤度比を意識しながら診察するようになると、診療が一段階レベルアップします。

『ステップビヨンドレジデント 2 救急で必ず出合う疾患編』
 研修医も指導医もみんな読んでいる、福井大学 林寛之先生の本。

Ashdown HF, et al. Pain over speed bumps in diagnosis of acute appendicitis: diagnostic accuracy study.BMJ.2012;345:e8012.
YouTube:各身体所見の動画
「CareNet: Dr.平島のフィジカル教育回診 第5回」(http://www.carenet.com/shorei/hirashima/cg001342_005.html?bcplayno[]=1_2#movie

(2019年3月6日現在、『初期研修医/非専門医のための推薦図書』という文書を執筆中です。カンファレンス担当者が学生時代から15年以上に渡って医学書の新刊をチェックし、購入してきた経験をまとめています。今月開催予定のSpring Campに参加される学生さん、その他今後当院へ見学・実習にいらっしゃる学生・研修医の方に差し上げる予定です。ティアニー先生のbest3もそちらで紹介します。)

文責:内科・リウマチ科 鈴木 康倫